何が起こったのか?
 
  ダッシェル上院院内総務、NBCテレビ、ニューヨークポスト紙宛に炭疽菌が送りつけられ、配送で経由した各地郵便局で、又開封した秘書を含め5名が死亡した。
最も深刻な状況にあったのが、2001年10月15日ワシントンの国会議事堂に隣接するハート上院議員ビルのダッシェル民主党上院院内総務事務所で、炭疽菌入りの封書が発見された45分後に50名の上院議員と執務者全員がビルから退去した事件である。
ビルは9階建、床面積2万7千坪、38万立方メートル、250の部屋数がありダークセン上院議員ビルに繋がる。
   
 
   
  誰がやったのだろうか?
 
2002年10月28日付ワシントンポスト紙Gugliotta & Gary Matsumoto氏の記事によると、“ダッシェル上院院内総務に送りつけられた炭疽菌は1.5gで大きさは1.5〜3ミクロン、1兆5千億の炭疽菌が含まれ、8千から1万個の菌が肺に入ると肺炭疽を発症する。15万人を死に至らせる量である。(米陸軍科学班)
米国製の生物兵器より50倍も微細で、最も進歩しているロシア製炭疽菌に比較しても10倍も細かく、AerosilとCab-O-Silシリカで加工された超乾燥型で、電子顕微鏡で見るとミクロ綿胞子状で簡単に飛散出来る構造になっている。
FBIの発表した単独犯説は疑わしい。少なくとも数10名の非常に優れた科学者と数10億円の開発費をかけないとこれ程優れた炭疽菌は開発不可能である。(Steven A. Lancos, Niro, Inc. 筆頭副社長)。“と言っている。
  The Hill (ワシントンの地元紙), 2001年11月5日付
   
  ハート上院議員ビルはどのように消毒されるか
 
   


本日、Harry Reid上院議員は炭疽菌で汚染されたハート上院議員ビルの殺菌消毒を、環境保護局の推奨する二酸化塩素ガス法で行う事を確認した。
約半世紀前から二酸化塩素は水に溶かした状態で飲料水殺菌に使用されてきたが、ガスを使う方法は先例がない。
しかし、二酸化塩素のもつ構造は真菌、ウイルス、最強の細菌類、例えば炭疽菌等の殺菌に対して効果的な化合物である。
分子構造はフリーラジカルで電子は対をなさない。
電子は人と同じで長期にわたる孤独を好まない。二酸化塩素の持つ電子は強力な酸化力を発揮するガスを作り、不安定な状態から立ち直るために他の物質から速やかに電子を奪おうとする。それはDNAや細胞膜をつくる蛋白質から電子を奪うとセルを破壊し、構造の持つ性質を変化させる事になる。
分子生物学者のPaul Schaudiesは、二酸化塩素は蛋白質と反応するので、硬球状の胞子を発芽不能なボロボロの球の状態にすると言っている。
二酸化塩素の効力試験として、まず非伝染性の類似炭素菌を建物の各所に置き二酸化塩素薫蒸を行った後死滅したかどうか調べる。汚染されていた場所の炭疽菌のDNA片を探し出し、それが最早生育不能である事を確認する。
EPAの責任者はあらゆる空間に拡散できるガス状二酸化塩素が他のあらゆる方法に比較して最も効果的な炭疽菌破壊方法であると思っている。
液状塩素は空気中に漂っている炭疽菌には効果がないし、又ハートビルには膨大な重要書類が散在しており、それら書類の殺菌は不可能である。
又、病院等で空気滅菌や最近DNA変質に使用されている紫外線照射は光の届く場所しか消毒できない。炭疽菌は山のような書類の下やファイルの奥底に潜んでおり、EPAの責任者は液体や泡そしてUVで出来ないことを二酸化塩素が処理してくれると思っている。
エキスパートによると長年消毒剤として使用されてきた塩素の代替としての二酸化塩素は影の薄いものであったが、今週、政府の科学者はアラユル観点からこの問題の見直しを急遽行う事になった。
   
  どれだけ汚染されたか?
 
  ハート上院議員ビル(ワシントン)、ブレントウッド郵便局(ワシントン)、ハミルトン町郵便センター(ニュウジャアジー州)、モルガン郵便物集配センター(ニュウヨーク)、ウエストパームビーチ集配センター(フロリダ)
   
  何で、どう対処したか?
 
  米環境保護庁は微生物を含む危険物質拡散に速やかに対処する責任があり議事堂を含む政府建造物25棟のサンプル採取を終わった。(2001年11月1日Q & A形式の広報を発表)
炭疽菌に汚染されたハート上院議員ビルの滅菌処理を以下の理由で二酸化塩素に決定した。
巨大なビルの滅菌処理には最も迅速な方法、最も効果的、最も安全な方法である。
二酸化塩素濃度1,000ppm 20時間暴露テストで各種機器、調度品、美術品等に対する影響を調べたが著しい変化は見られなかった。
二酸化塩素は1811年に発見され、ガス状の即効性のある殺菌剤で、環境保護庁は1988年に承認し、飲料水、下水、食品加工工場、医療廃棄物等の殺菌に使用されている。
二酸化塩素は容易に中和ができ、処理完了後の入居者には健康障害を与えない。
巨大な二酸化塩素発生装置(飲料水日量750万トンを2ppmで殺菌処理する量)を設置し、ビル内の各箇所に遠隔操作型ガス濃度検知装置を置き指定された全ての場所に二酸化塩素が充満することを確認し、炭疽菌スポアの滅菌処理を行った。処理を行った場所は5階と6階の28名のスタッフが勤務するダシェルシェル上院院内総務の大きな部屋と全ての換気口であった。ビル全体は機密性が良く外部に殺傷性二酸化塩素ガスは洩れなかった。(米環境保護局)
   
  その結果どうなったか?
 
  2001年12月27日に二酸化塩素ガスが注入され12月31日に完了した。
2002年1月22日にビルは開放され再使用し始められた。
ビル内の機材、美術品、調度品、事務用機器にはガスによる影響は見られなかった。再入居した大勢の人達に健康障害は現在まで起きていない。(約9ヶ月間)(米環境保護局)
   
  現在の状況
 
  ハート上院議員ビルから1km位離れた場所に位置する床面積2万2百坪の巨大なブレントウッド郵便局に炭疽菌が発見されて1年が経過するが、郵便局全体の滅菌作業のため、前準備に膨大な時間が費やされ二酸化塩素の注入は11月末に予定されている。郵便局の側を鉄道が走り、民間のビルが立ち並びガス漏れ防止工事に完璧さを要求されている。(滅菌作業班)
   
  処理に携わった団体は?
 

Sterling Pulp Chemicals, Ltd.
Sabre Oxidation Technologies, Inc.
Ashland Inc.

   
  どれくらい費用が掛かったか?
 
汚染処理にアメリカ政府が費やした金額は$170,000,000.00(210億円)にのぼり、密閉作業と機器の配置まで完了したブレントウッド郵便局に対する、二酸化塩素ガス注入、中和、検査費用、又他3箇所の処理費用は含まれていない。(滅菌作業班)
 
 
  ※印刷時はプリントプレビューで確認し、プリント願います。
セイバーケミカルエンジニアリング株式会社